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ホットパック(温熱療法)とは

治療現場で役立つように、「ホットパック(温熱療法)」についてまとめました。

ホットパック(温熱療法)とは

温熱療法とは人体に熱エネルギーを加えて、緊張緩和や疼痛軽減、循環改善を目的とする物理療法です。温熱療法は古くから理学療法の治療手段として用いられてきましたが、近年になり作用と効果が見直されて、新たな治療法の考案や研究がなされています。

腰部へのホットパック

ホットパックは、臨床の現場で最も使用頻度の高い温熱療法のひとつです。体の表面に施す表在性・温熱療法の代表格で、患部をパックで覆って加温する方法です。ホットパックには、大きく分けて「湿熱式」と「乾熱式」のタイプがあります。

ホットパックの様子

温熱療法と寒冷療法の違い

温熱療法と寒冷療法は痛みを除去する一般的な手段として用いられています。両療法の違いは、主に問題となる痛みの種類によって使い分けがなされています。痛みには、慢性疼痛と急性疼痛の2種類があります。

適用症状
温熱療法慢性期・慢性疼痛原因がわかりにくい。痛みが長期間続く。
慢性疾患(がん、関節炎、糖尿病、線維筋痛症など)や心理的要因が原因となる。
寒冷療法急性期・急性疼痛原因が明確。短期間で治まる痛み。
急性疼痛は突然のケガや病気で起こる。
「発熱・発赤・腫脹・疼痛」を伴う炎症がある。

慢性疼痛は、慢性疾患(がん、関節炎、糖尿病、線維筋痛症など)や心理的要因が原因になることがあります。原因が不明確で、痛みが慢性的に持続するケースが多く、主に温熱療法が用いられます。
一方、急性疼痛は突然のケガや病気で起こります。「発熱・発赤・腫脹・疼痛」を伴う炎症となり、寒冷療法を用います。寒冷療法は比較的に短期で治まる痛みに対して使われます。寒冷・温熱の特性を理解し、症状に応じて選択する必要があります。

氷のうによる寒冷療法
「氷のうによる寒冷療法」
ひざへの温熱療法
「ひざへの温熱療法」

ホットパックの禁忌

基本的にホットパック(温熱療法)は、急性疼痛で「発熱・発赤・腫脹・疼痛」を伴う炎症症状には使用できません。
下記の表のような部位には使用しないでください。温めることによって、疼痛を増強させたり、症状を悪化させたりする可能性があります。

  • ・急性の損傷や炎症のある部位
  • ・腫れや熱感のある部位
  • ・出血または出血の可能性がある部位
  • ・悪性腫瘍のある部分又はその周辺

次に該当する方への使用は避けてください。

  • ・糖尿病による高度な末梢循環障害や知覚障害のある方
  • ・温度感知が出来ない方
  • ・麻痺のある方
  • ・意思表示が出来ない方
  • ・酒気を帯びた方

ホットパック湿式と乾式の違い

熱(エネルギーの流れ)の移動には、「熱伝導、対流、熱放射」の3種類があります。 「熱伝導」とは物質が熱を運ぶことを指します。(「対流」は流体、「熱放射」は電磁波による熱移動)ホットパックは熱伝導を利用した温熱療法で、「湿熱法」と「乾熱法」とに大別されます。

熱伝導のイメージ

「湿熱法」は、シリカゲルを厚手の木綿袋に詰めたものを温浴装置で加温後,コットンタオルで包んで利用する方法が一般的です。湿熱法は、熱伝導率が高く、乾式よりも筋硬度の低下や血流量の増加で有効との研究結果もあります。一方で、水分を含むため施工後の急激な皮膚温度の低下、患者衣服の湿潤などの課題もあります。
「乾熱法」は、患者の衣服を湿潤させないように湿熱法のホットパックをビニール等で包んで乾熱法として使用する方法が一般的です。乾熱法は、湿熱法に比べて使用するタオル枚数も少なく、手間がかからない利点がある一方で、熱伝導や血流増大など点では湿熱法に劣るという課題もあります。

メリットデメリット
湿式ホットパック
(湿熱法)
・熱伝導性が高い
・筋硬度が低下する
・血流量の増大する
・皮膚温度が急激に低下する
・装着に手間がかかる。
・タオル使用枚数が多い
・衣服が湿潤し、熱傷の危険性あり。
・肌の露出あり、患者への配慮が必要。
乾式ホットパック
(乾熱法)
・皮膚温度の低下が緩やか
・手間がかからない
・衣服を濡らさない
・肌の露出なく使用できる
・湿式より熱伝導性が低い
・湿式より筋硬度の影響低い
・湿式より血流量の影響低い

「湿熱法」と「乾熱法」には、それぞれの長所と短所があります。従来の臨床現場では、湿熱法が主流でしたが、患者さんの衣類が湿ることや、使用するコットンタオルの枚数が多く手間がかかることから、最近では乾熱法を使用する現場が増えています。

(文献:仲村匡平、村田伸、村田潤、古後晴基、松尾奈々
:ホットパックの湿熱法と乾熱法との違いが筋血流量に及ぼす効果 Effects of moist and dry hot pack on microvascular blood volume.)


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ホットパックの作用

ホットパックは、物理療法における代表的な温熱療法のひとつですが、近年になってホットパックの作用と効果が見直されて、様々な治療法や研究がされています。 一般的な温熱療法としては、下記のような効果が期待できます。

疼痛の緩和患部を温めることによる痛みの物質の除去。
筋肉の緊張緩和筋肉のコリをほぐし、腰痛や肩こりを緩和させる。
血管の拡張作用患部の炎症・老廃物を除去する。
全身の血流改善や体温の上昇にも効果的。
リラックス作用心身の緊張緩和によるリラクゼーション効果。
組織代謝の亢進血液やリンパやの流れを改善して、細胞活動が活性化する。
組織の温度上昇による代謝率アップ。体の動きが改善する。

温熱療法の様々な活用法

近年の研究により温熱療法は、筋肥大作用や廃用性筋萎縮の抑制効果、抗炎症作用などがあることが明らかにされました。さらに、全身に対する温熱療法は、慢性疲労症候群、うつ病などの精神疾患にも効果的とされており適応は広がりつつあります。

(文献:中野治郎、中願寺風香、片岡英樹:温熱療法の生理学的効果、理学療法29巻9号 2012年9月P978)

筋力の増強効果と筋肥大

最近の研究により温熱刺激が筋力増強に有効であることが明らかになってきています。 筋細胞に温熱刺激を与えてから運動負荷を行うと 筋線維肥大効果が向上するという結果が動物実験により明らかになりました。ホットパックによる人を対象とした実験でも、温熱刺激単独での筋力増強効果の可能性が示唆されました。

(文献:温熱刺激単独による筋力増強効果について:医療法人豊泉会、丸山病院リハビリテーション部、鳥山海樹、古澤元、田村忠義)

筋硬度の低下と血流量の増大

ホットパックは、臨床的に筋伸張性向上を図る目的で実施されることが多くあります。ただ、筋加温効果については賛否両論があるため、皮膚厚の違いを考慮した筋加温効果についての実験が行われました。加温による筋硬度は、皮膚が厚い腰部脊柱起立筋が低下し、薄い上腕二頭筋では変化が認められませんでした。筋血流量については、両筋ともにホットパックにより同程度の有意な増加が認められました。

(文献:谷脇雄次、吉田英樹、片石悠介、花田真澄、志田航平、嶋田有紗、天坂興、中村洋平、前田貴哉、照井駿明
:皮膚厚の違いを考慮したホットパックの筋加温効果に関する検討)

関節拘縮の予防

関節の拘縮とは、特定の関節における正常可動域が減少した状態を指します。関節拘縮の発生予防を目的としてラットを用いた実験では、運動療法前の処置として温熱療法を施したグループに対して優位に関節可動域の発生が抑制されました。臨床の現場では関節可動域の運動の効果を高めるために温熱療法が併用されていますが、実験により温熱療法により関節拘縮の発生抑制効果を認めることができました。

(文献:坂口顕、沖貞明、金井秀作、長谷川正哉、清水 ミシェルアイズマン、大塚彰、小野武也、陳之内将志
:関節拘縮発生予防を目的とした温熱療法の効果、理学療法科学 21 (2): 181-184, 2006)

慢性疼痛の減少

慢性疼痛の患者は、長期に渡る痛みで日常生活が制限され、慢性のストレスによる気分障害や不安障害を合併していることが多いとされています。難治性の慢性疼痛患者への運動療法に加えて、温熱療法を併用した試みでは、痛み行動が減少、情動面では怒りが軽減し、睡眠障害の改善傾向がみられました。温熱療法の併用は慢性疼痛に対して効果的な治療法の一つになると結論づけています。

(文献:増田彰則、長井信篤、中山孝史、皆越眞一、古賀靖之、八反丸健二、鄭忠和
:慢性疼痛に対する温熱療法の試みとその効果について)

唾液分泌の促進と嚥下機能の活性化

唾液減少は嚥下障害の原因になります。ある実験では、耳下腺や顎下部への温熱刺激は、継続的な唾液分泌量が増加すると報告されており、温熱刺激20分後からの食事開始が有効と示唆されています。

(文献:東岡紗知江、比嘉仁司、本田剛、中道敦子、本釜聖子、永尾寛、市川哲雄

:スダチのにおい刺激および温熱刺激による唾液分泌促進補助法の考案)

唾液腺の図解
引用:要介護高齢者の口腔ケア – e-ヘルスネット(厚生労働省)よ り
首にホットパックをしている様子

におい刺激と顎顔面周囲への温熱刺激の併用によって,持続的に唾液分泌量を増加させることができるかを検証した実験では、におい刺激による唾液分泌の増加は短期的であったのに対して、温熱刺激のみの場合には、即効性はないものの,唾液分泌量は徐々に増加する傾向にあることが示されました。食事時の唾液減少による嚥下困難者への応用にあたって唾液分泌量を持続的に増加させるには,顎下部温熱刺激20 分後からの食事開始が有効であることが示唆されています。

(文献:東岡紗知江、比嘉仁司、本田剛、中道敦子、本釜聖子、永尾寛、市川哲雄
:スダチのにおい刺激および温熱刺激による唾液分泌促進補助法の考案、老年歯学第29巻第1号2014)

上肢温罨法による静脈怒張

注射や採血で、十分な静脈の怒張が得られない静脈穿刺困難者への対処法として温罨法やマッサージが実施されています。ただ、静脈穿刺時の温罨法に関する明確な根拠や具体的な方法は示されていないのが現状です。ある実験では、上肢に温罨法を施すことが静脈怒張に有効であることが示されました。温罨法は血管怒張のみならず,血管穿刺に伴う疼痛を軽減する可能性も示唆されています。

(文献:佐々木新介 岡山県立大学大学院 保健福祉学研究科 博士学位論文
:抹消静脈の怒張を目的とした上肢温罨法の検証)

入眠時間の短縮と睡眠の質向上

遠隔温熱作用が入眠を促す効果を検証ために、被験者の手足の抹消温度と脳波、心電図を計測した実験が行われました。寝台・寝具と背部体表を間接的に加温した結果、入眠時間が有意に短縮するという結果が出ました。加温は、入眠を早め、睡眠の質を高める効果があることを示唆しました。

(文献:市村孝雄、貞野友里恵、中山薫、福田由貴中、札本翔子
:遠赤外線加温による睡眠潜時の短縮Latency of sleep is reduced by far-infrared warming)

ホットパックの課題

ホットパックによる温熱療法は、使い方次第でとても有効な物理療法ですが、使用する現場では下記のような課題もあります。

1. やけどの防止について

ホットパックで最も問題なのが「患者様のやけど」です。ホットパック使用時に熱傷をきたした事例が複数報告されています。下記は何れも医療機関において発生したやけど(低温熱傷)の事例で、長時間使用したことにより発生しています。

「ホットパック使用時の熱傷」

使用目的件数背景
保温6・約1時間、同一部位に当て続けた
・四肢から離して置いたが、検査や処置後に皮膚に接触していた
血管拡張
(抹消静脈瘤置針挿入・採血)
2・約30分以上、採血予定部位に当て続けた
・カバーを付けることになっていたが、カバーを付けずに使用した
血管痛の緩和1・約1時間、点滴刺入部に当て続けた
・テープで固定して使用した
リハビリテーション時の
温熱療法
1・取扱説明書に記載のある厚さよりも薄いタオルで包んだ

※対象としたホットパックは、保温剤(ゲル)が塩化ビニル等のフィルムに包まれているものや、吸収保温材(ベントナイイトなど)が布製の袋に入っているものです。

「医療安全情報No.137 2018年4月」より引用
「公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部」

何れも、約30分や1時間の長時間、ホットパックを使用した場合に発生しています。 低温熱傷は、体温より少し高めの温度(44℃~50℃)の熱源が皮膚に長時間触れ続けることによって起きます。 忙しい医療現場で、患者様の状態やホットパックを常に観察することは中々難しいのが現状です。 たとえ長時間使用してしまっても、やけどのリスクを防止するホットパックの開発が課題となっています。

2. 感染症の防止について

ホットパック使用時の感染症対策も課題のひとつです。複数の患者様に、同一のホットパックを使用する際の感染防止、ホットパックを装着する際の密着防止などの課題があります。

  • ・患者様ごとのホットパックの消毒
  • ・患者様と医療スタッフの密着の防止
  • ・機器周辺や機材の清掃やメンテナンス

3. 湿式と乾式の選択について

ホットパックを使用する際は、温熱療法としての効果はもとより、「やけどの防止」や「感染症予防」などの安全性を踏まえた機器の選択が必要となってきます。さらに現場の状況も考慮し、ホットパックの湿式と乾式、それぞれの特徴を踏まえた上での選択も課題のひとつとなっています。

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