トルマリンクールと氷のうによる冷却比較実験
トルマリン冷却療法「トルマリンクール」と氷のうによるアイシングの比較実験レポート
・実験日:2018年5月30日 ・実験者:中園 徹 安茂悦子 篠原知恵美
氷のうによるアイシングは冷却効果が高い反面、長時間の使用による凍傷の危険性もあります。急性期は患部の冷却が必要であっても、痛みや苦痛を伴うため患者満足の低下も考えられます。
トルマリンクールは熱伝導性の高いトルマリン鉱石を活用した冷却療法です。トルマリンホットパックは患部に熱を与える温熱療法ですが、逆に患部の熱を取ることにも応用できると小笠原素材研究所の小笠原正弘所長からアドバイスをいただき製品化しました。
乾式タイプのため皮膚冷感が気持ちよく、凍傷のリスクもが少ないため繰り返し使用でき、深部の熱を取ることが可能となります。氷のうとトルマリンクールの比較実験を行ないました。
【実験内容】
40代女性の両大腿部を冷却し観察。
右側:氷のう(市販アイスバッグ使用)
左側:トルマリンクール(600gパック3個使用)
10分間装着後の皮膚温度を計測。写真撮影およびサーモグラフィ撮影(FLIR ONE使用)
【計測内容】
ベッドに座位にて計測。両大腿部とも皮膚温度は30.2℃(赤外線放射温度計にて計測)
大腿部前面右側に氷のう、左側にトルマリンクール装着。左右共に同じような冷感が感じられる。
氷のうはバンテージ固定、トルマリンクールは伸縮ベルトにて固定
5分間経過後、右側氷のうの冷感が強まり少し痛みが感じられるようになる。左側トルマリンクールの冷感はあるが皮膚に感じる痛みはない。
7分間経過後、右側の疼痛が増強。ピリピリした感覚となる。左側の冷感は変化なし。
10分間経過後、氷のうとトルマリンクールを解除する。皮膚温度:右側13.0℃ 左側17.5℃。右側には発赤あり。「刺さるような痛さあり」左側も若干の発赤は見られるが疼痛はほとんどなし。
解除後2分間経過:皮膚温度 右側18.7℃ 左側21.9℃ 右側の疼痛はやや緩和した。
*右側の氷のう装着部分は解除後から急激な皮膚温の上昇がみられた。
解除後10分間経過:皮膚温度 右側23.0℃ 左側25.2℃ 右側にヒリヒリした感覚に変わる。
解除後20分間経過:皮膚温度 右側25.0℃ 左側26.4℃ 左右の温度差は1.4℃。
*右側の発赤と疼痛はやや残存。左側は違和感もなく継続冷却も可能な状態。
【被験者の感想】
実験後、氷のうを施した右側は発赤と痛みがあるため、継続したアイシングは困難だと感じられた。左側のトルマリンクールを施した側には疼痛や違和感もなく、連続した冷却が可能だと感じられた。実験の翌日、右側皮膚には軽度の赤みと小さな赤い点が残ったが、左側には見られなかった。
【実験後の所感】
氷のうによる冷却直後は皮膚温度の大幅な低下が見られたが、直後に皮膚温が上昇。20分後には12℃皮膚温度が上昇。発赤や痛みもあり直後に継続してのアイシングは困難だと感じられた。
トルマリンクールによる冷却では皮膚温度の大幅な低下は見られなかったが、20分後の皮膚温度上昇は8.9℃。結果として氷のうとの皮膚温度の差は1.4℃となった。トルマリンクールによる冷却は発赤も少なく、疼痛もほとんどないため実験後も継続した冷却が可能であった。
今回、皮膚深層の温度計測はできなかったが、トルマリンクールは継続した冷却が可能であり、氷のうに比べて短時間での炎症部位や筋肉・関節部分の冷却が可能であると考えられる。
実験者:中園 徹